ちょこっと不動産から初めてのキャピタル型案件が出てきていますね!
割と前の段階で公開されていたので、「まあ、後でゆっくり見てみよう」
という風に思って、そのまますっかり失念していました。
というわけで、開始日はもう少し先ですが、
また忘れてしまわないように、今回のタイミングでご紹介してみたいと思います。
尚、今回案件は劣後出資が【45%】と非常に高いのが特徴です。
詳しくは考察ということで下記に色々記載していますが、元本の毀損リスクという部分においては非常に低い形での案件組成が為されているのは良い部分だなと思いました。
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早速、概要を書いてみます。
案件名:ちょこっと不動産6号 元浅草
募集金額:2620万円(劣後出資45%を含めた募集総額が4780万円)
目標利回り:5%
運用期間:5ヶ月
募集開始:11/4 12時半~11/18 一杯まで(先着式)
前回は事業者の地元、多摩地方の一棟アパートの運用というインカム案件でしたが、
今回は打って変わって事業者内で初のキャピタル型案件となりました。
今回物件は、ちょこっと不動産の運営会社である株式会社良栄の自社戸建ブランド「Buena Town-ブエナタウン-」シリーズ用の物件の土地(借地権)と建物を運用し、売却が出来た際のキャピタル利益を持って投資家への配当とするという案件です。
さて、今回の案件の特徴は、土地が所有権ではなく、
【借地権】というところになります。
ざっくり借地権付の物件を一般論的に書くと、
【土地が所有権ではないので利回りは上がるが、リスクも上がる】
ということになります。
そのため、都内23区内の好立地の案件にも関わらず利回りを5%取れるということですね。逆に言えば「借地だけど利回りは5%しかない」という考え方も出来るでしょうか。
どっちで考えるかは人によるかもしれませんね。
ただ、今回案件に関しては詳しくは後述しますが、元本の毀損リスクが非常に小さくなるように商品設計していますので、そのあたりは借地案件であることのデメリットを上手く補っているなという印象がありますね。
「借地」と一口に言っても、意外と借地という言葉は色々なパターンを含みますが、
今回は「旧法借地権」という【借り手が強い権利】での借地利用なので、
借り手側である住宅の購入者にはメリットがある程度多い形です。
つまり事業者やひいては投資家もこの形での借地案件なので、地代を抑えつつ、借り手である住宅の購入者の権利も強く使えるということをプラスに見て考えられます。
大昔は一部地主が土地を広大に持っており、多くの人が借地に住んでいたため、
多数派である借主の方をなるべく保護する法律が作られていたわけですが、
現代に近づくに連れて地主だから力が上、借主だから力が弱いとも一概に言えず、
もう少し権利者の権利を尊重することも大事ということで、
1992年に改正がされたんだそうです。
(特にバブル期に土地代自体が大幅に値上がりしたことも大きな影響だったようです)
とはいえ、それ以前からの契約については旧法のまま残っているということで、
都内の古くからの街に関しては、まだまだ旧法の借地権が残っているところが多いですね。私の勤務先も現在はほとんど解消されているみたいですが、一部の敷地に旧法の借地権があったり、それこそ会社自体が地主として借地を貸しているケースもありましたし、あるいは会社近くの先日開発が決定した土地も、分譲住宅が建つのですが、
旧法かは不明ですが、「借地権付き」だったりします。
あまり普通に生きていると借地って聞く機会がなさそうですが、
郊外と違って土地代の高い都心ではまだまだ残っているようですね。
そしてそういうところに限って、
昔からの土地だから、「昔からの地主」がいたりするわけですしね。
というわけで、今回案件は「旧法の借地権付住宅」というところが、
まずは一つ特徴としてあります。
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次は住所やアクセスについて見てみます。
住所
東京都台東区元浅草3-21-10
アクセス
東京メトロ銀座線「田原町駅」徒歩6分
都営大江戸線・つくばエクスプレス「新御徒町駅」徒歩7分
最寄り駅は銀座線の田原町駅か大江戸線、TXの新御徒町駅ですが、
それぞれの駅の隣駅である、銀座線の稲荷町駅、大江戸線の蔵前駅にも近く、
地図で住所を検索されると分かるかと思いますが、
大体この4つの駅の中間点くらいにある立地という印象です。
ちょっと前にクリアルから「上野案件」と称する、台東区松が谷の案件がありましたが、大体似たような立地ですね。
この物件のあたりから北上した隣の町名が松が谷ですからね。
その案件についての考察記事を書いた時にも書きましたが、
田原町駅周辺は仏閣が多いなど、仏具店が昔から多いあたりです。
そういう意味では利便性は結構高いものの【地味な立地】とは言えますね。
それこそ古いタイプの事業者が近隣にも多くあるので、騒音、臭いなどの問題ももしかしたら住居として考えた時にはあるかもしれません。
実際、今回の物件の住所で調べてみますと、以前の事業者さんの名前が見られ、調べたところ「ノリを製造している事業者さん」だったようです。
ノリと言っても食べるものではなく、ホットメルトとかエマルジョンノリとか、
あるいは澱粉とかを作っている会社さんの本社があったと。
ほんの少し、こういうノリについては関わりがあると言えばあるので、へーって感じでしたが、この会社さん自体は本社機能としてここにあるだけのようではあるものの、
まだ事業そのものもこのあたりでやられている昔ながらの工場なんかもありそうな立地というのはやはり言えるかもしれません。
地域的には商業地域ではあるものの、かなり古くからの土地である関係で狭い道が多く、建蔽率・容積率は高いものの、前面道路の制限を受けやすい地域でもありますね。
本物件は建蔽率が80%、容積率が500%の商業地域に立地していますが、
前面道路が6m道路の一方通行なので、実際に可能な容積率は360%となります。
(6×0.6=3.6=360%という感じの計算です。)
もっとも本物件は折角の都心でありながら3階建てにせず2階建ての物件なので、
そういう意味では容積率の心配は全然ないわけですが、
それにしても3階建てにせず2階建てっていうのは結構なんか変わってるなー。
なんても思うんですよね。(厳密には屋根裏収納としての3Fはありますが)
逆に狭い割に駐車場は別にどこかを借りるというわけではなく、
軽自動車は止められるようにビルドインになっていますしね。
って考えると、DINKs向けの戸建てって感じなんですかね。
あるいはある程度の年齢の行った子どものない夫婦、
子どもが独立された夫婦なんかに売るイメージなのかもしれません。
結構、そういう意味では尖った物件という感じもするんですが、
一点モノって考えた時には、中途半端な作りより、こういう風にちょっと狭いけれど無駄な部屋もなくお値段もその分借地を活用して手頃に・・・というのは意外と需要があるのかもしれません。
個人的にはイマイチ需要が見えないタイプの物件ではあるのですが、そう思えるような物件だからこそ、実はごく限られた人にとって本当の意味で需要を満たしてくれる内容である物件ということなんだろうなと想像しました。
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物件の価値などについて、ここからは考えていきたいと思います。
まず、借地権なので、所有権ほどの土地代にはならないということが言えます。
ただし、台東区ですから都心ですし、所有権の7割くらいの価値はありそうですね。
(超一等地ならば9割くらいということもあるようです。9割はすごいですね。)
とりあえずあまり相場は分かりませんが、恐らく公示地価では70万くらいのところだと思いますので、保守的な金額となる公示地価とイコールとして見てみます。
そうすると、土地代(借地権)が3200万くらいとなります。
建物の原価はシミュレーションによると1316万とのことなので、
2つ足すと、4500万くらい。
この物件の買主への希望販売価格は4880万ということがネット上に出ているので、
情報の整合性は取れるなという印象です。
それに対して、実際の借地権の仕入れ価格は「2352万」ということになっています。
つまり、「仕入れ価格が安い分が良栄さんの主な利鞘になる」という感じでしょうね。
不動産会社さんとお話ししていると【売ることより仕入れが花形】という話をちょいちょい聞きますが、確かにこうやって色々なデータを見るとそうだよなと思いますね。
どうしても買い手の方に高く売るというのはデータも世の中に出揃っていて、
相手はエンドユーザーですし、難しいところがありますけど、
安く買い付けるというのは相手のニーズや年齢層によっては調整出来る部分がありますもんね。それこそブックオフとかそういった企業も安く買い取って、程々の値段で売るというのが商売でしょうし、
「買い付ける」ということって大事なんだなーと思う、今回のデータでした。
さて、で、このデータをそのままもう少し見てみると面白いです。
仕入れ等の総額が「3960万」販売価格が「4780万」(買主向けHPでは4880万)なので
粗利が「820万」ということになります。
がしかし、私たち投資家サイドとして見ると、募集総額は「4780万」です。
つまり、4780万で売れると良栄さんとしては利益が出るのに、
匿名組合の今回の案件としては利益が出ない計算になります。
4780万が募集総額なので、4880万などそれより高い金額で売ることが投資家の利回りを成立させる条件ですね。4780万から50万以上上乗せされた価格で売れれば大体利回りが払える計算です。(満期運用の場合)
なので、ざっくり言うと【安売りしたら良栄さんとしては儲かるけど、匿名組合としては損をする=劣後出資が毀損する】ということになってしまいます。
ちょっと悪い言い方をすると劣後出資として出資している分は、欠けたとしても、
会社としての事業者さんは懐が痛まないということになるわけですね。
まあ、簡単に言えば、仕入れ金額が1000万のものを、ファンドとして総額2000万で募集して、1800万で売却してファンドに赤字を出して、自社は利益を出したとしても、
別にそれは違法ではないということなんですよね。
無論、不特法の制約の中で、実際に500万しか価値のない物件を2000万で募集するなどの極めて高額な価格をつけるなどは出来ないことになっていますが、
とはいえ、ある程度は「評価の付け方を簡易的にする」「背伸びした計算にする」
などで調整は出来ると言えば出来るんですよね。
そして今回は仕入れ値が安いだけで、適正価格での募集案件ですから、
もちろん、そんな危なっかしい話とも違いますしね。
そういう意味で、今回の案件は、【劣後出資が45%ある!】という風にプラス面は大きいですが、実はその劣後出資の大部分は販売後は利益として帰ってくる部分なので、
ほぼ毀損するリスクを事業者としても見ていない。
ということがあります。
逆に投資家にちゃんと利回りを払うためには、物件としての利益は4500万くらいに値下げして売却したりしたら払えなくなるということです。
なので、事業者としては【必ず定価付近で売らないといけない】という制約があるということとも言えますね。
って考えると、【劣後出資が厚くて毀損リスクはかなり低い!】ということの見合いとして【利回り5%を得られる確率が少し低め】とも言えます。
そこはデータをちゃんと読むと分かることなので、
念のため出資を検討される方においては気を付けた方が良い部分かなと思います。
ですが、私は逆にこう思うんですよね。
【劣後出資部分は欠けても事業者にとっては痛くない部分。そこが劣後出資になっている以上、投資家元本が毀損するリスクがほとんどないから魅力的じゃないか】と。
この45%は事業者リスクに全く関わらない部分の数字ですから、魅力的ですよね。
例えば、同じ劣後出資45%でも、【その劣後出資を銀行から借り入れして起こしている中小企業の事業者】とかだったら、本当に欠けた時に経営が大丈夫なのかという話が出てくる。でも、今回に関しては全くそういったリスクはないわけですから安心です。
そして利回りがちゃんと確保されるのかという点においては、
【1点モノの都内好立地の少額レジ】ということで、【1世帯に売れれば大丈夫】という状況ですから、ファンドとして見た、「話の理論上」は他案件よりも可能性が低い部分はあるものの、実際には台東区の御徒町周辺でありながら、こういった庶民でも手が出る価格のレジデンスですから、
1世帯を囲えれば良いという中で、事実上、早期に売れる可能性は高く、
定価から大きな値下げをしないといけない事態になるというのは考えづらいですよね。
例えばすぐ近くで物騒な事件でも起こって、このあたりの土地がそういうイメージで有名になってしまった・・・くらいの話でもない限り、普通に考えれば利便性も高くてそれでいて手頃価格ですから、売れなくなるということは考えづらいと思います。
上手く行けば竣工前に契約者を見つけることも可能なレベルじゃないかなーとも思いますね。そう考えると、この案件は【かなり堅い】かなとも感じますね。
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そろそろまとめを書いてみます。
1.上野・御徒町エリアの好立地で利便性が高い
2.やや地味な立地で借地権のため、物件価格が比較的お手頃
3.旧法借地のため、借り手に有利な条件であり買い手が付きやすい
4.土地の仕入れ価格が安く、その利鞘部分を劣後出資に充てているため投資家元本の毀損リスクが非常に低い
5.販売価格を落とすと投資家へ配当出来ず劣後出資が毀損するため、目標利回りを得られる可能性は(理屈上は)少し低め
6.1点モノのレジデンスであり好立地かつ相場よりも狭いが安価など尖った物件でもあるので、1世帯の需要を満たす要素は揃っており売れる見通しは明るそう
こんな感じでしょうか。
ざっくり言うと、上記の状況でファンドを組成しているため、
投資家元本の毀損リスクは非常に低いと言っていいかなと想像します。
他方、利回りの確実性は毀損リスクの低さに比べると、
ちょっと不安定な部分もあります。
とはいえ、1点モノのレジデンスですし、業績が好調であるちょこっと不動産を運営している良栄さんがこの1点の案件の利回りを約束通り配当しない形にして、ネット上での評判を落とす意味もあまりないでしょうから、
多少、経費を余分にかけても、この物件をプッシュして、
ちゃんと定価で売るのかなという感じはします。
不動産業者と戸建てを買いたい庶民の間では情報の非対称性が強いわけですから、
ある程度、不動産業者の気持ち次第でどの物件をプッシュして売っていくかは作れるのかなーとも思いますしね。
(私も今、戸建てを探しているとすれば、また違う視点で買っていたかもしれません。)
というわけで、元本の毀損リスクが非常に低いという1点において、
かなり好印象を持てる案件でした。
あとは利回り5%という数字をどう見るか、
またその利回りの確実性をどう判断するかという感じですね。
毀損リスクが低い中で利回り5%が最大値として記載されているというのは、
一般論で言えばお得かなとは思います。
現状は不動産クラウドファンディングを中心にお得な案件がたくさん組成されているので、それらと比べた時にどう感じるかというところかもしれません。
利回りの部分で言えば少し低いですが、
リスク部分に注視すると安心感は強い案件ですね。
私自身も書いてみて、これは投資しても良いかなーという気はしました。
後はどうやって金策をするか、出来るか次第という状況です(笑)
以上、ちょこっと不動産の記念すべき初回のキャピタル案件について、
自分なりに色々書いてみました。
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ちょこっと不動産にご興味の出た方は、下記リンクよりHPをご確認ください。
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※尚、不動産クラウドファンディングについて紹介する際は、知名度が劣るため、