昨日は上手くまとめられずにだらだら長くなってしまい、
1つの記事でさくっと終わるつもりが、2つに分ける形となりました。
今回は、不特法の中でも最近整備された「小規模不動産特定共同事業」について書いてみたいと思います。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001373305.pdf
昨日の記事に引き続き、また国土交通省の下記リンクを見ていただければと思いますが、平成29年に改正された小規模な事業限定であれば特別に1号2号事業者を資本金1000万でも良いとしたのが、この制度です。
(その他にも普通の1号2号に比べて条件が緩和されているところがあります。)
リンクをそのまま書き直しますが、「投資家一人あたりの出資額及び投資家からの出資総額がそれぞれ原則100万円、1億円を超えないこと」
という条件があり、この条件に合致する募集に限定していれば、資本金1億円の1号事業者を必要としないというのがキモになっています。
尚、昨日は少し正確性を欠いており、1号事業者の許可があれば「2号はなくても案件募集は出来る」ようで、
(たまたま昨日、FANTAS FUNDINGのサイトを見ていたら、1号だけとなっていたので調べました。)
正確な1号事業者の定義は「不動産特定共同事業契約を締結し、契約に基づいて運営される不動産取引から得られる利益等の分配を行う事業者」とのこと。
つまり他社1号事業者の案件を、ただの代理・媒介として行うという事業を考えていない場合(自社案件のみとするならば)1号だけを持っていればいいんだなと知りました。
・・・と、少し話がそれましたが、資本金1億円が用意出来なくとも、
「小規模不動産特定共同事業」という形を採ることで、多少の案件の制約はありますが、資本金1000万円で不動産クラウドファンディング事業が行える!
というのが、今現在の状況です。無論、クラウドファンディング形式=「電子取引業務」ではない普通の不特法も同じことが言えます。
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ところで、この「小規模」ですが、何故こういった制度が考えられたのかというところと、どうも【空き家の取引を活発化させたい】というのが国としてあるようで、
VOL.128~ 小規模不動産特定共同事業をさらに活用しやすくするための施策について【不動産ジャパン】
小規模不動産特定共同事業の始め方と空き家ビジネス | 不動産会社のミカタ
小規模不動産特定共同事業を活用して空き家再生事業を行うときに役立つツール – 一般財団法人ハトマーク支援機構
こういうものが色々と出てきます。
空き家に対する行政の問題意識が伝わってくるようで、その動き自体を否定はしないですし、条件緩和がされ業界が活性化することは、投資家としてもプラスに働く面は色々とあると思います。
・・・ただ。一個人として、私が思うことは。という前置きになりますが、
【資本金1000万しかない中身の分からない運営会社に投資するのはやっぱ怖くないか?】と。
1億と違って、1000万であればちょっと頑張れば一時用立てられますよね。
それで細かい案件を速いスピードで組成し続け、どんどん流動資産と流動負債を積み上げ会社を急拡大させ、その数字を持って更に拡大路線を歩み(借入等を増やすなどして)、そして何かの拍子に上手く行かなくなって・・・
みたいなことを、さすがに私は懸念してしまいます。
例えば、資本金1億円超えの1号2号事業者である、victory fundのカチデベロップメント株式会社は、よく読むと資本金を積み増ししたのが最近なんだろうなと思われる記載がありました。更に株主は名前を調べてもこれというのが出てこない会社(普遍的な名前というのもあるでしょうが)でもあります。
これはある意味でちょっと不透明なところがあるとも言えるかもしれません。
ただ、とはいえ、この事業を進めて会社を発展させていきたいと考える人が確実に存在し、そこに資本金1億円が投下されているということは間違いないわけで、
そういった観点の下、今回、私は自分の負えるリスクの範囲で出資をしました。
(ちなみにカチデベロップメントは実質比較的新しい会社のようですが、マザーポート株式会社という名前の旧会社の免許番号や設立の日付を経営移管の形で引き継ぐことで、信頼感をある面で積んでいると言えるかもしれません。)
が、これが資本金1000万となると、意味合いがだいぶ変わりますよね。
その事業に対し、裏事情がどうであれ1億円を投下している会社と、1000万しか投下していない会社。
これを同一視は出来ないだろうなと思います。
政府としては空き家問題の解決に、なるべく流動性を持たせたい、地方を活性化させたいという考えで小規模な事業者にも門戸を開いたのでしょうが、
電子取引まで加えてしまうと、日本全国津々浦々の投資家が、これまた日本全国津々浦々の小さな事業者に投資出来るという形となり、
これは多少リスクが大きく、不特法の良い部分をある意味で取り払ってしまっている感を私は感じるんですよね。
地方の空き家をどうにか・・・みたいなことであれば、それこそ電子取引ではなく土着の会社が近隣自治体の投資家と書面取引をした方が何かと安全ではないかなと思ったりするなと。(それこそ実物も見られるでしょうしね。)
もっと言えば、そもそも小規模な案件=空き家再生、区分リフォームを多数行いたいなら、それくらい不動産会社が借入でやった方がいいんじゃないかなと。
無論、こういうものは安い金利での借入が難しい部分があるというのはLENDEXなんかに投資していると分かるわけですけども、
不動産会社がそういったリスクを取らないで済み、無知な投資家にリスクを負わせやすくしているこの制度は個人的にはちょっとどうかなーと思います。
私自身、今でこそ1号2号3号4号だとか、不特法の運営会社側のメリットなんかも何となく分かるようにになりましたけど、それこそ2年前くらいだったら「儲かって楽しい」だけでしたしね。
そういう気持ちで高い利回りの細かい案件にいくつも投資して結構な金額になったところで、ドロンされてしまったら、やっぱり不動産は怖いって話になってしまいそう。
もっとも上記で書いていることはかなり悲観的な考え方ではあるのですが、
不特法をベースとした不動産クラウドファンディングはとても魅力的なものである反面、積極的には語られていない裏のリスクがあることも事実であり、
また、そのリスク面が「小規模」の場合は、かなり大きくなるだろうとも思うので、そこはブログを作った以上、ちらっとは書いてみたいなと思って今回書いてみました。
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というわけで、ざっくりとした結論付けになりますが、
不動産クラウドファンディングに参加する際は、事業者が普通の1号2号の資格があるかを確認する。
(会社概要で資本金が1億以上あることを確認する。)
もし違って、1000万等のそれ以下の数字である場合、ちゃんと「小規模」であることを謳っているか確認する。
そして、小規模の事業者である場合はリスク面が普通の事業者より高いので、そこに留意した上で参加する。
こんなことが大事なんだろうなーと個人的には思います。
小規模だからダメということではなく、誠実にそこを積極的に記載した上で魅力的な案件を募集しているのであれば小さな金額で投資する分にはアリでしょうか。
ただ、私個人としてはまだそこは少し勇気が要るなというところで、今のところは小規模系の会社には登録したことがないです。
以上、素人がその2を書いてみました。
※その1の記事は下記となります。合わせてご覧ください。
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中古物件のリノベーション案件が魅力的な不動産クラウドファンディング事業者。
利回りも比較的高いアセクリ。 もちろん資本金は1億円以上の1号事業者です。
資本金の小さな不動産会社の味方的な貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)事業者のLENDEX。利回りの高さが魅力です。小規模事業者による不動産クラウドファンディングで投資家にリスクを負わせるより、こういった会社を利用して貸付型で空き家の再生事業などは行って欲しいなとか個人的には思って紹介しています。
※尚、不動産クラウドファンディングについて紹介する際は、知名度が劣るため、
類似した投資であるソーシャルレンディングをタグに入れています。両者は似たスキームですが、別物であることはご留意ください。
逆にソーシャルレンディングについて紹介する際は、不動産クラウドファンディングのタグは入れておりません。