最近、急激なスピードで事業会社が増えている、不動産クラウドファンディング。
これは多くの方がご存じの通り、掲題の「不特法」をベースとした事業です。
不特法自体はそれほど目新しいものではないですが、インターネットを利用したクラウドファンディングでの募集という形態が法整備などもあって上手くハマり、
不動産の持つ、良い意味での「山っ気」とか「配当の大きさ」での投資家の集めやすさであるとか、
あるいは逆に【現物があり完全に棄損することが基本的にない】という「手堅さ」においての投資家の集めやすさもあり、
ここのところ人気が出ているという感じでしょうか。
どっちのタイプでも不動産ってこんなに可能性があるんだ。と自分自身も勉強になっています。
私自身不動産投資というものに多少の興味はありつつ、
どんな業者だか分からない会社の書面、パンフレットを見て、1口100万で投資・・・
なんていうのはさすがに荷が重いと思っていたので、
(こういった投資に参加する前の話です)
なるべく人が動かない形を採ること(クラウドファンディング、ネットでの取引)で、1口あたりを1万~10万にし、敷居を低くしてくれたことで、
こうやって偉そうに論評の真似が出来るまでの興味を持てた感じというか、一言で言えば、たぶんいい法整備をしてくれたんだなーと思ったりします。
そんな不特法ですが、実は細かく見ると色々あるんだよな。というのを素人なりに少し書いてみたいと思います。
(イメージとしては、素人がより知識の浅い人に雑談をしている感じ。
と捉えてください。致命的な間違いがあればご指摘いただければ大変助かります。)
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まず、不特法の業者は、1号・2号・3号・4号という分類があります。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001373305.pdf
詳しくは国土交通省の下記リンクを見ていただければと思いますが、
ざっくり言うと、1号事業者はある程度の規模がないといけず、
資本金は最低でも1億円。これは結構大変ですよね。
少なくとも弊社は・・・です(苦笑)
1号は実質的な不動産の管理者であるわけですから、会社としてある程度の規模がないと大きな実物不動産の所有権を持って、匿名組合の投資家に運営、売却した利益を配分するにあたって力不足になるということなんでしょうね。
それに対してプラットフォーマー的な2号事業者の方は、あくまで媒介がメインとなるため、大きな組織である必要はなく、1000万円です。
とはいえ、資本金1000万円だって、それはそれなりに大変でしょうから、
やはり最低限レベルの会社としての体がないといけないことになっているとも言えるかもしれません。
尚、ほとんどの不動産クラウドファンディングの運営会社は同じ会社で1号2号をセットで届け出ている形です。
ですので、会社概要のところを見れば分かるかと思いますが、大体の中堅、小規模の運営会社は資本金が1億ジャストになっています。
違うパターンで思いついたところだと、最近募集頻度が上がり、事業に力を入れている感じがありありと伝わるWARASHIBEがそうでしょうか。
こちらは、WARASHIBEを運営している「SATAS」が1号2号をどちらも受け持っている案件もありますが、
SATASに資本投下をしている上場企業GFAの関連企業である、
「TRIAD」が1号を受け持ち、プラットフォーマー的な2号はSAKASが受け持ってWARASHIBEで募集をする。という形が結構あります。
なので、まとめると、1号2号については、とてもざっくり言えば実質的な物件管理者が1号、募集等細々したことを行うのが2号。という風に考えればいいのかなと私は思っています。
・・・では、3号4号って何ぞやということですが、
これまたリンクを見ていただければ、理解出来る方も多いとは思いますが、
特定目的会社(SPC)を活用することで、【営業会社の所有している不動産への出資】ではなく、【営業会社と切り離された存在であるSPCの所有している不動産への出資】
が出来るというのがこちらになります。
以前、自分なりにちょろっと書いたことですが、1号2号を使った匿名組合契約での不動産クラウドファンディングは不動産に紐づいた分配をもらう権利や毀損したお金を負担する義務がある投資ではあるものの、あくまで実物の不動産は営業会社の所有であり、どんなにその不動産単独で見た時に状況が良くとも、営業会社そのものが倒産した場合には、営業会社が背負っている負債の返済原資に充てられてしまうため、投資家保護が不十分という側面があります。
(すごく悪い方の想像をすると、とある所有物件をクラファンで募集し、そのお金を元手に別事業をするも、別事業が思わしくなく、更にその所有物件を抵当にいつの間にか営業会社が入れてしまい、そしてそれでも思わしくないまま、倒産・・・みたいになると、完全に投資家の元本は毀損になるって感じでしょうか)
こうした問題を改善すべく作られたのが、3号4号です。
こちらの場合は、営業会社が4号事業者及び、3号事業者のオリジネーター(でしたっけ?)として案件を組成し、
1号2号で言うところの1号部分を自社が行わず、代わりに3号の運営を行うSPCを設立し、そのSPCのマネジメントとして関わることで、
万が一営業会社が倒産した場合でも、SPCは良くも悪くも営業会社とは切り離されていて別会社のため、その不動産単独の成果のみが完全に投資家に反映される形を採れるというところが特長です。
また、優先出資、劣後出資、借入金の3つを混ぜた案件でも営業会社への貸付ではなく、その不動産そのものを担保としてSPCへの貸付となり、営業会社から見た場合のいわゆるノンリコースローンとなるため、担保計算が適切であれば、優先出資の棄損リスクは低くなります。
(その不動産を担保とした借入以外がSPCには生じていない以上、係る金額以上を返す義務は当然ないため)
ただし、この3号4号の形の場合、各不動産ごとにSPCを設立することになるため、なかなか小さな案件では手間も経費もかかり難しいと言えるのが難点でしょうか。
私も素人なので詳しくはありませんが、以前に読んだ時には大変だなーと思った印象があります(笑)
ところで、不動産クラウドファンディングの事業者側のメリットの1つとして、
「あくまで営業会社への出資であるため、集まったお金の資金使途は自由」であり、
元々自社で所持している物件を募集してお金を集めた場合、新たに入ってきたお金は浮いているお金のため、他案件用の資金としたり(レバレッジをかけるようなイメージ)、自社の別事業の資金としたりが出来る。ということが挙げられます。
(だからこそ、1号2号の事業者はそういった流用により倒産となった時のリスクがあり、投資家保護が不十分ということになります)
ただし、それは借入ではないため、借り入れた履歴とはならないものの、バランスシート上には乗ってくる明細となるため、場合によってはあまり好ましくないという企業としての考え方もあります。
例えば、上場企業や上場企業を目指している規模の会社で自己資本比率を高めたい場合などは、バランスシート上にこの事業が乗ることで流動資産、流動負債の額が増え、自己資本比率が下がってしまうことで、対外的な評価が下がる懸念がありそうです。
あるいは借入を含めた優先劣後+借入の3つからなる案件を1号2号で行った場合は借入もまた当然バランスシートに乗ってくるため、尚更、企業として好ましくないと考えるようです。
これが3号4号の形だと、SPCへの売却という形になるため、バランスシート上から切り離された事柄になり、自己資本比率を上げることが出来、
また、投資家としてもその不動産単独の成果のみが投資家に反映されるため、1号2号よりも保護されるメリットがあります。
それでいて、SPCへ売却したということは資金は手元に同様に集まっているので、運営会社側にも当然メリットはありますよね。
この3号4号を「(電子取引業務含む)」というクラウドファンディングの形態で募集しているのは、現時点でTREC FUNDINGのみ。
ここはトーセイの大手さんとしての強みであるのかなと思いますし、
なかなか概念が難しいのでアピールしきれていない感じもありますが、
私自身、少しずつ勉強する中で魅力だなと感じていたりはします。
もっとも、トーセイの場合は会社自体が上場企業で大手のため、
倒産リスクは低く、投資家としてそこのリスクを鑑みる必要性はそこまで高くないのですが、企業の姿勢として私はいいなと思ったりもしています。
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付け焼刃の知識の上に、上手くまとめられなかったのですが、
ざっくりまとめると、1号は1億、3号でも5000万の資本金が要るため、ある程度大きな会社でないと不特法の事業は行えない。
不動産クラウドファンディングは(1号2号であれば)営業会社への出資となるため、不動産の利益や損失の分配を受ける権利、義務はあるが、投資家に所有権はなく、営業会社が所有権を持つ以上、営業会社の経営が破綻した場合は不動産の成績と関係なく借入金返済に用いられ、元本が毀損する。
また、営業会社への出資となるため、資金使途は限定されておらず、概ね営業会社の別不動産の購入に使われていることが多いが(そこが営業会社のメリットとなる)、別事業等への転用がされていないかなどは不明な部分もある。
「1号2号」より「3号4号」は営業会社と不動産が切り離されており、投資家保護がなされているが、SPCを毎回設立しなければならないため手間が大きく、実際はTREC FUNDING以外は電子取引の形では行われていない。
ただし、こちらであれば営業会社は出資金を自社の資金とすることが出来る上、自社のBSと切り離すことも出来、なおかつ借入を含めた案件の場合、万が一損失が出た場合もあくまでSPCの借り入れのため、自社の資金を追加で拠出することなく事業を終えられる。(リコースローンではなくノンリコースローンとなる)
(※↑は投資家のメリットではありませんが、上記の仕組みを採ると借入がしやすくなるため、分配利回りより借入金利の方が低い昨今、結果的に投資家は高利回りを享受しやすくなるメリットが間接的にあります。)
こんなところでしょうか。
自分で書いていて自分が一番おさらいになった感じがしますが・・・
上記は自分なりに頑張って勉強して書いてみましたが、誤っている部分もあるかと思いますので、素人の雑談と捉えて読んでいただければと思います。
ま、一言で言えば「TREC FUNDINGさんを応援しています」という感じでした(笑)
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その他に、比較的最近整備されたものに「小規模不動産特定共同事業」があります。
こちらについて、次の記事では書いてみようと思います。
この部分を知っているのと知っていないのだと、
似たような案件であったとしても、認識の仕方が変わってくるかと思いますので、
一応、また自分なりに書こうと思ったのでした。
※その2の記事は下記となります。合わせてご覧ください。
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TREC FUNDINGさんの広告がないので、レバレッジをかけて速いペースで案件組成を行っている代表格である、クリアルを不動産クラウドファンディングらしい会社さんという意味合いで下記に載せます。
※尚、不動産クラウドファンディングについて紹介する際は、知名度が劣るため、
類似した投資であるソーシャルレンディングをタグに入れています。両者は似たスキームですが、別物であることはご留意ください。
逆にソーシャルレンディングについて紹介する際は、不動産クラウドファンディングのタグは入れておりません。