皆さんご存じ、ソーシャルレンディング随一の高利回り事業者、
LENDEXよりスキーム変更についてのお知らせがありました。
※参考リンク
https://store.lendex.jp/media/document/pdf/20220218_1.pdf
https://store.lendex.jp/media/document/pdf/20220218_2.pdf
https://store.lendex.jp/media/document/pdf/20220218_3.pdf
正確には、「匿名組合契約約款変更のお知らせ他」という題目で、
内容としては【2022年3月1日付で完全子会社「株式会社LENDEX LOAN」への 併存的債務引受契約を締結することとなりました。】
ということについての説明となっていますが、
難しいことを一旦、置いておいて簡単に書くと、
スキーム変更をすることになった。考えて良いのかなと思いますね。
先に余談からスタートする感じにはなってしまいますが、
少し似た投資形態でありながらスキームの違う不動産クラウドファンディング(不特法のスキームによる)においては、
不動産の所有権は事業者が持ったまま、匿名組合の扱いという特殊な括りに付け替える形で、疑似的に投資家が不動産を所持している雰囲気を持たせています。
ただし、あくまで所有権は事業者のままですから、
実は不動産クラファンも投資家の権利は債券的な性質であるということが言えます。
(利回りを得る権利、元本を失うリスクがあるが、出資金以上の負担はないということで)
そして、これは私なりの言い方ですが、ですので、【事業者に投資家資金が入るため、ある意味で事業者を応援する応援投資的な側面もある】
ということが言えます。
単純に事業者にお金がそのまま入るというわけではありませんが、
仮に、元々事業者が所持している物件を匿名組合分に付け替えるのであれば、
事業者は匿名組合からお金をもらうことになりますし、
逆に事業者が投資家資金をもって物件を所有した場合は、事業者はお金を出さずに(劣後出資や諸経費もあるので全くというわけではないにせよ)物件の所有権を得られるということですから、ある種の応援投資かなと思います。
さて、それに対してLENDEXのようなソーシャルレンディングにおいては、
投資家資金は事業者に行くのではなく、需要家に資金が提供されます。
あくまでソーシャルレンディング事業者は仲介ですから、
手数料・マージンを取って事業を成り立たせるということになります。
実入りは少ないものの、貸付先さえちゃんとしている、出来るのであれば、
自社資金を使わないため、リスクは低いとも考えられます。
(無論、実際は銀行の融資が叶わない貸付先や案件だからこそソーシャルレンディングが出てくるため、
事業者にとってもリスクが低い商売とは言えないわけですが)
そのため、リスクは元々ある意味で限定的ではあるわけですが、
実入りも手数料・マージンのみで比較的少ないため、
なるべく、より責任は分散させた方が全体に被害が及ばないという力が働きます。
実際的にはグループ会社同士なので与信的なことで被害分散は出来ないにせよ、
分社しておけば、責任という意味では分散されますし、
当然、個々の会社が連動しない形で何か事業を行うこともしやすくなりますね。
例えば事業者であるPocket Fundingが投資家に対する窓口(プラットフォーマー)なのに対して、実際に資金を扱って貸付を行う営業者はグループ企業で、本物の貸金業者である財全ソリューションであったりビジネスアシストであったり。
CAMPFIRE Ownersもあくまでプラットフォーマーで、貸付は本体のCAMPFIRE社。
クラウドバンクやオーナーズブックも同様にグループ企業で分かれています。
もっと言えばFUNDSの一部案件や、
FUELのようにプラットフォーマーと営業者がグループ会社ではなかったり、
ビットリアルティのように、営業者はグループ企業の力で運営されてはいるものの、
倒産隔離がされていて帳面上はグループ会社ではない例などもあります。
そういった形を採ることがいわば王道であったソーシャルレンディング界において、
LENDEXはプラットフォーマーも自社、
そして貸金業者(営業者)も自社という形を行っていたため、
いわば事業者と営業者が兼務されており、
会社としては小回りは利いていたのかもしれませんが、
プラットフォーマー側の業務、実際の貸付など顧客対応などの業務が重なり合っていて、責任の分散や業務の分散はしづらいことになっていたのではないかなと思います。
実際、問い合わせ窓口も「info」のみで行っていますし、
恐らく応対されている方もごく少数ではないかなとも思いますしね。
そんな中で応援型のクラウドファンディングサービスの「レンスポ」も始めましたから、これは、まあ、大変だろうなーとか想像していました。
今回はそんな1つの会社で2つの事業を同時に行う的な状況を整理し、
貸金業者としての子会社と、プラットフォーマーとしての親会社を分社する。
ということなので、内情はさすがに分かりかねますが、
一般論で言えば【交通整理がされることになって良かったのでは】と感じました。
既に投資した分については、
【併存的債務引受】といって、引受人が新たに同一内容の債務を負担するものの、元の債務者も以前同様に債務負担をする。つまり、債務者(この場合、LENDEX)、引受人(この場合、子会社のLENDEX LOAN)どちらにも何かあった時に債務の返済を迫る権利が投資家サイドには生まれたということで、
まあ、親会社がどうかなったら子会社もダメでしょうし、逆もまた然りですが、
少なくとも投資家として不利になる条項はないようですから、
「何かややこしいことになってるけど、LENDEX大丈夫なの!?」
みたいに思われる方ももしかするといらっしゃるかもしれませんが、
素人の把握している限りでは【むしろ安心感が多少なりとも増した】
という状況かなと思いますので、
より今までに比べて安心してサービスに参加しやすくなるのかな。とは思います。
無論、分社化されるということは、各々の会社が連動せずに事業を行う余地も生まれるわけですから、基本的には発展的な事象とはいえ、
高利回りの案件を組成している事業者でもあり、100%良くなったとまでは言えず、
長い目で見ると、何か投資家に対して不利なことが起こる可能性や、
今までと違った事柄が起こる可能性自体はあるかもしれません。
特に不動産クラファン事業者であるTECROWDの体制変更があった際にも少し触れましたが、良し悪しは別にして企業の体制が変われば、募集姿勢や投資家に対する姿勢が変化する可能性は当然あるわけですから、(これはオーナーズブックなどにも言えます)
暫くは、良い部分、気にかかる部分などが新たに出るか、
注視していきたいなと思いました。
まあ、今回は表面的な分社化がなされるというだけなので、
これを悪く想像し出したら分社していなくても社内でどうとでも複数事業を展開して、
相互に悪影響を及ぼし合うことなどはありえるわけですから、
現状においては他の事業者と同じ体制が構築されることになった。
という意味でプラスに取って良いリリースではないかなとは基本的には思いますね。
安定的に募集金額を集め、投資資金を集めることが出来るようになってきましたので、
恐らく黒字化の目途も立ちつつあるのでは?とも分からないながら想像します。
いずれにせよ、今後のLENDEXに改めて注目だなと感じたリリースでした。
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LENDEXについては高利回りに対して貸付先の偏り、投資対象が見えづらい、
基本的に貸付先が匿名のままであるなど、いわゆる旧式のSLであることもあり、
サービス性の高さには定評があるものの、敬遠されている方も多いかなと思います。
私自身も投資は行っているものの、
もう少し透明性が高まったら良いなとも当然ではありますが、思っています。
ただ、古びた不動産を買い付けてきてバリューアップして売ることでキャピタルを稼ぐ。そしてそれをなるべく短期で行うことを目標とするが故に、銀行からの融資が受けづらいという貸付先の業態を鑑みるに、
スキームとしての不透明なところはあまりなく、
私は一定程度、内容には信頼がおけるのかなとも考えて投資しています。
もう少し時期が落ち着いてからにはなりますが、過去案件を集計して、貸付先ごとのちょっとした特徴などがまとめた記事を書いてみたい気持ちがあります。
こういった記事を掲載することで、
興味ある方の投資・登録検討の一助にはなるのかなと。
またそのあたりは時間が取れた時にどのように記事化するか考えてみたいと思います。
見てみたいと思われた方、期待値を上げない程度に期待してください(笑)
というわけでLENDEXのスキーム変更について、
ちらっと思ったことなどを書いた半分雑感的な記事でした。
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