こんにちは。NNSです。
元日に更新した通り、しょーもない状況により、
結果的に新年早々からちゃんと更新出来ることになってしまった私です。
お陰様で体調は9割程度まで回復しており、
ざっくり言えば体調は【毛ヅヤもガラッと~】と言ったところです。
(一部の人にしか分からない例えで失礼しております…
が、分かる人にはこの表現がいつも大体一番理解してもらえる感じだったりします笑)
というわけで、年末に出来たら良いのになー的に書いていた、
【本当はこういう年末年始こそ、普段更新しきれない、 「スキームのポイント」とか「事業者ごとの注目点」なんかをブログらしく自分なりの目線で書けると良い】
の記事を1つくらい頑張って書いてみたいと思います。
今のところ(大体いつも通りですが)何も詳しい中身が決まっていないまま、
何となく走り出していますので、どんな結末の記事になるか不明ですが、
タイトル通り【不動産クラファンって利回りが低いこともリスクかもよ】
ということについて書いてみたいと思います。
普段はこの視点についてはあまり触れて欲しくないという人も多いのかなという印象があるので、意図的にやんわりとしか書かなかったのですが、
折角、それなりに考察ブログとしてちゃんと読んでいることを知らせてくださる方が結構いるので、(しかも私より業界に近そうな方もいるという不思議!)
この視点について新年特別ということで書いてみます。
もっとも、この視点とて【当たり前といえば当たり前】の視点なので、
ある程度詳しい方にとっては【大した内容じゃない】と思われるかもしれませんが、
とはいえ「利回りが高い=リスク高い」「利回りが低い=リスク低い」とだけ思っている方にとっては一応意味のある記事になるかもしれないなとも思いますので、
自分なりにこのあたりについて書いてみたいと思います。
不動産クラウドファンディングとは何か。
これについては色々なところで色々な方がご説明されているので、
何度も同じ記事を書くのがちょっと面倒(脳内ではつい「たいぎい」と発していました笑)に思ってしまったこともありほとんど省略しますが、
ざっくり言うと一部の違うスキームであるものの、
不動産クラウドファンディングと呼称したり呼称されたりしている事業者を除いて、
(例:オーナーズブックやLENDEXなどの不動産系ソーシャルレンディング事業者、ビットリアルティのようなGK-TKスキームを変形して用いている事業者など)
不特法という法律に基づいて自己名義の不動産を組合扱いに変える代わりに、
資金を集めてファンドを運用する事業を、
クラウドファンディング形式で行うことを指しています。
いくつかパターンはありますが、
1.元々自己名義の不動産を匿名組合や任意組合扱いとする場合、
2.自己名義だが借入がある不動産を匿名組合や任意組合扱いとするにあたって集めた資金で借入を解消する場合、
(あるいは事業者の劣後出資部分が物件を担保とした借入で行われている場合もあります)
3.投資家資金を用いて不動産を取得し、そしてそれを匿名組合や任意組合扱いとする場合もあります。
(あるいは借入と投資家資金を合わせた形の案件というものも可能です。)
大体、大きく分けるとこの3パターンに分けられるかなと思います。
元々自己名義かつ借入なしの案件は、
本業のフックツール的な事業者や保守的な運用をしている会社に多く、
自己名義だが借入がある案件はもう少し意欲的な事業者、
投資家資金を用いて、不動産を取得する事業者は更に意欲的な事業者と言えます。
尚、任意組合型の場合、投資家は実際の不動産所有者の一員となりますが、
匿名組合型の場合、あくまで不動産の所有者は事業者のままですので、
(厳密には3,4号事業という特例事業の場合は少し違いますが、基本的にこの形の案件をクラウドファンディングで組成しているのはTREC FUNDINGだけなので、今回は文字数の関係で省略します)
投資家は疑似的に物件を所持している雰囲気で利回りを得る権利を持っていることと、
元本を失う可能性を持っていることになります。
これは債権的な権利であり、ある種不利な権利でもありますが、
逆に言えば不動産に致命的な問題があり元本毀損以上の損失が生じても、有限責任となり、元本として支払った金額以上の負担義務はないことがメリットとなります。
ともかくざっくりと書くと、不動産クラウドファンディングは基本的には不特法の商品であり、【利払いを受ける権利=債権的な権利】ということと、【事業者にお金が渡るためある種事業者への応援に近い意味合い】の投資ということが言えます。
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さて、もうこれだけで約2000字です。やっぱ不特法って難しいですよね。
えー、そろそろ本題に行きます。
不動産クラウドファンディングは何故利回りが低いことがリスクなのか。
について書いてみます。
まず1つ目。
1.利回りが低い=元々の募集金額が大きすぎる可能性があるから
という観点です。
不動産クラウドファンディングにおいて、
募集金額とは無秩序に決められるものではありません。
あくまでその不動産の客観的な価値に基づいて、案件を設計した時の総額の内、
劣後出資を引いた金額が優先出資=募集金額となるためです。
(ただし、借入が別にある場合はそれも含まれます。)
もちろん劣後出資が必ずしもある必要はありませんし、見たことはないですが事業者の優先出資も劣後出資も何もない案件というのも可能なのかもしれません。
少なくとも劣後出資ではなく、事業者と投資家が同列に出資する完全セイムボートという案件であれば過去に存在しています。
ただし、上記はぶっちゃけ【ということになっている】というだけで、
不動産の評価額を正式な不動産鑑定士などの鑑定を用いず、
事業者が類似の物件からつけることも出来ます。
(そして類似の物件から金額つけたよ。と言うだけでOKでもあります。)
なので、本来の評価額より背伸びした価格で評価額をつけて、
その記載した評価額に近しい金額で募集を行うことで、
【募集金額は高くつけることが可能】ということです。
実際、クラウドファンディング事業者ではない不特法の事業者さんで、
客観的に見ると価値が高いとは思えない物件を高い価値と謳って資金を集めているのでは?と思えるケースも散見されています。
私は素人ですので、安易にこれはおかしいとかは言えませんし、
自分がお勧めしない、出資しないということしか現状は出来ませんが、
ともかくそういったことも可能と言えば可能なスキームではあります。
(もちろん基本的にNGなので、多少の背伸びなどはあるにせよ、明らかに不自然な評価額をつけているクラファン事業者は私が見るところありません)
ということで、本来の物件価値よりも高く価値を見積もって、
そこから募集金額を高く出すことが可能だということがあり、
【募集金額を通常より大きくした場合は、利回りを通常通り払うと当然きつくなるため、利回りは結果的に落ちることが多い】
ということも同時に言えるということになります。
つまり天秤とかシーソーのようなものを思い浮かべてもらえれば分かりやすいのかなと思いますが、左側の募集金額を大きくつければ、右側の利回りの部分は低くつけないとバランスが取れないですし、
逆に左側の募集金額を小さくすることで、右側の利回りの部分を高くつけることは可能
ということです。
ですから不動産クラウドファンディング(不特法の商品)において、
【利回りが低いからリスクが下がっている】【利回りが高いからリスクが上がっている】とは一概に言えない。ということが言えるんですよね。
無論、【募集金額を大きくして、尚且つ通常通り利回りを出す】ということも可能です。単純に事業者がその分をマケたり、本来はそれをすると赤字だとしても、多少背伸びをした計算でキャピタルゲインなどを計算することで組成可能です。
その場合は、単純に事業者の事業者リスクが上がり、
逆に事業者としては本来以上の金額が集められるので、
事業のレバレッジが上がることで拡大のペースが速められる可能性が高まります。
こちらの観点で見れば【利回りが高いことはやっぱりリスクの高さに繋がる】
ということになりますので、あくまで私が言いたいのは、
【利回りが低いことがリスクになりえる】ということであって、
【利回りが高いことはリスクじゃないよ】ということではありませんから、
自身の分析力に自信のない方は利回りが高いことはリスクの一因だ。
という認識自体は持っていて損はないかなと思います。
更にもう少し「利回りが低いことのリスク」について書いてみます。
2.利回りが低いということはそもそも入手金額が高くついているかもしれない。
こちらの話もありえます。
これは1とも類似した観点となります。
1は事業者側のちょっとした背伸び、欲張りなど一般投資家が気づかない範疇での計算方法の調整での出来事ですが、
こちらの場合は、単純に市況の中で入手金額が高くて、入手した金額分を投資家に負担してもらわないといけないため、募集金額が理想的な金額より高くなってしまい、
結果的に利回りが低くついているということになります。
そもそも不動産の利回りとは何かという話になりますが、
すごくざっくりした言い方をすると、
収入÷価格×100がパーセントとなる計算です。
つまり月20万で5000万の戸建てを貸したら、
240÷5000×100で表面利回りが4.8%となります。
ですので、相場より利回りが高いということは、収入が相場より高いのか、あるいは物件価格が相場より安いのかのいずれかになります。
ですので、例えばとある私のよく知る戸建て(笑)は、
ニコイチ的な開発で2軒がほぼ同じ物件ですが、
どちらも何かの間違いで売られていき、そして何かの間違いで賃貸物件となった場合、
Aのおうちは安く買い取れたけど、何故か安い賃料でしか貸せなかった。
Bのおうちは高く買い取る羽目になったけど、カモが見つかって高い賃料で貸せた。
この場合、中身は全然違うけれど、結果的に同じ利回りとなる可能性がある。
ということです。
なので、ただただ利回りだけが同じ数字だからといって、
中身が同じとは限らないということですね。
私自身も超素人ですが、素人実物不動産投資家が失敗しやすいのは、ここを理解しないまま投資に臨むからというのもあるのかなと思います。
【たまたま高い金額で入居している入居者がいるから利回りが高くなっているだけの物件を利回りが高いからと高値掴みしてしまって、退去と同時に収益大幅悪化】とか、
【利回りの相場が低い立地で利回りが相場通りだからと言って、古くからの安い賃料の入居者がいる築古物件を高値掴みしてしまって、修繕費が嵩む】とかでしょうか。
単純に利回りの数字と立地の相場だけで見ると、こういう間違いが起きるのでは?
と想像します。
これは類似投資法であるソーシャルレンディングと違ってちょっと難しい部分です。
無論、ソーシャルレンディングでもリコースローンなのかノンリコースローンなのか、担保があるのかないのか、あるとしてLTVはどうなのか。連帯保証などがあるのか。
というかそもそも貸付先の財務はどうなのか・・・などでも利回りの確度が違ってくると言えば違ってきますが、
とはいえ、一つ一つは割と難しくない概念なので、
ちゃんと内容が公開されていれば判断は容易でしょう。
それに対して、不動産クラファンは表面的な利回りの数字が同じだとしてもそもそもの入手価格が安いのか高いのかで、潜在的なリスクは違うということになります。
また、当たり前ですが、物件としての利回りの中身によっても潜在的なリスクが違うというだけではなく、物件としては高利回りだとしても、事業者のマージンが大きいから利回りが低いという可能性もありますし、
今回の観点とは逆の利回り高=リスク高の文脈になるだろう話ではありますが、
逆に、物件としては低利回りなのに事業者がマージンを落として利回りを出してくれているパターンもありえます。
そして更に言うと【事業者のマージンが少ないことは投資家の利益の毀損の確率も高いので単純に気前が良いという判断をすれば良いものではない】
ということも言えたりします。
このあたりは本当は2として1つで語る部分ではなく、
3,4,5くらいまでしないといけないかもしれません。
いずれにしても、利回りが低いということは、市況が良いことに起因して、
物件自体の入手価格が高く、それを募集価格に転嫁しているからである可能性があり、
(そしてそれでも募集金額が埋められてしまう人気事業者である。とも。)
むしろ「利回りが低い=マージンに余裕がない」ため、市況悪化の際の下落リスクへの備えが出来ていないとも考えられる。
という可能性もありえます。
もちろん、ごく一般的には世の中の景気が悪化した場合でも物件の価値の下落が少ないからこそ狭義のリスク(これは上振れ下振れいずれもを含む意味合いです)が小さく、
ボラティリティが小さいからこそ利回りも低いと言えるのですが、
1の観点と合わせた時に不動産そのものの価値と完全にイコールではないのが不特法商品、不動産クラウドファンディングの商品でもあるので、
利回りが低いことは結果的にリスクでありえるということが言えるのかなと、
私は思っています。
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あまりにも長くなってしまいましたので、一応、記事を2つに分けました。
ほとんど同じことを何度も繰り返しで書いている感じなのですが、
もうちょっと読んでやっても良いと思える方は続きもご覧ください。
↓下記が続きと記事となります。合わせてご覧ください。↓
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