昨日はビットリアルティとGK-TKスキームについて、
素人なりに知っていること、考えたことを書いてみましたが、
今回は不動産を実質的な投資対象とした、STO投資について書いてみたいと思います。
一部情報の早い方は、ビットリアルティの親会社である一部上場企業のケネディクスが、野村証券とSBI証券を引受先としたSTO投資の案件を新規募集することになったことをもうご存じかと思いますが、
いやー、これもなんか難しいですよね。
最終的な目標としては、不動産を活用して利益を投資家に配分するという話なので、
不特法を使った「不動産クラウドファンディング」と似たようなものとは言えます。
それはつまりビットリアルティが不動産にまつわるお金を出資して、その資金が貸付として活用されるという部分において「ソーシャルレンディング」と似たようなものであるのと同等という感じでしょうか。
ちなみに、その案件がこちらですが・・・
まあ、何だかこれだと分からないよなーと。
自分自身最初に見た時に「・・・なんだっけ?」ってなりました。
まず、一般的にはSTOとは何ぞやということから始めないといけないですもんね。
こういう3文字の略称が金融やら投資やらには本当に多いですよね。
普通に生きててこういう3文字の英単語なんてDVDくらいしか触れる機会がなかったので、混乱が多いです。
APPとかELPとかELOとかCSN&Yとか、そういうのならいくらでも頭に入るわけですけど、こういうのはややこしくてダメですね。
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で、STOとは・・・「セキュリティ・トークン・オファーリング」の略で、
暗号資産(仮想通貨)のようにブロックチェーン上で発行される事柄=トークン
の中で、証券的な性質を持つもの=セキュリティ・トークンを発行する代わりに資金調達をする行為ということだそうです。
今回の渋谷案件だと、不動産にまつわる利益を分配してもらう権利=(今回の場合)信託受益権を小口に分け、セキュリティ・トークンの形で募集し、それに対して投資家を募って資金を集める行為になるので、
つまり、STO案件ということになるそうですね。
このSTOが今までクラウドファンディング投資界隈で関わってきたケースはほとんどないですが、強いて言えば大家.comの初回案件がSTOを活用した形での運用途中の譲渡を認めていました。
ブロックチェーンはすべてのその投資にまつわる事柄が記録出来、改竄が出来ないため、途中で別の人に譲渡することに事業会社が完璧に関わらなくとも出来る可能性があるということですね。
普通なら私の持っている例えば「WARASHIBE」への出資分を、読み手のAさんに譲渡したいと思っても、私が持っているという明確な証拠も出すのが難しいし、譲渡したという証明を出すのも難しい。運営会社が色々やらないといけない。
でも、ブロックチェーン上にその投資にまつわる事柄が乗っているのであれば、容易になるということで、
ブロックチェーンを活用した、STが広まると、流動性の低かった非上場の投資に流動性を持たせやすくなる。らしいです(ほんと、らしいというレベルの知識しかないです)
更にどんなトークンを使うか、システムを使うかにもよるんでしょうけど、
ブロックチェーン上にそういった取引の詳細まで記載して、そのフォーマットに則った取引であれば自動的に成立させたりなんていうのも出来るらしく、
このあたりはイーサリアムやその流れを組むような暗号資産が力を入れているところというのは、もしかしたらご存じの人も多いかもしれません。
大家.comが初回案件で使用したLIFULL社が行っているSTOの活用サービスも、
下記リンクに記載のある通り、イーサリアムを使用しています。
LIFULLが不動産クラウドファンディング向けにブロックチェーン基盤デジタル証券化を支援・推進 | TechCrunch Japan
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というわけで、STOを上手く活用すると低コストに投資の小口化、電子化が出来るということで、将来的には資産的な価値はないものの、文化的な価値のある事柄を、小口化することで半ば応援に近いような投資が出来たりという可能性がありますね。
大金は応援に払えないけれど、小さい金額であれば投資出来る。
そしてその対価はお金ではなく、例えば無料でのコンサート観戦などと引き換えにするなども出来るでしょうし、
購入型、支援型のクラウドファンディングに代わる運用が為される可能性もありそうだなーとかは想像します。
さて、で、話を戻して冒頭に挙げた不動産STOの渋谷案件。
これはビットリアルティで出てきたのと、
まあまあ、似たようなスキームになっているようです。
まず不動産の持ち主は明確にされていませんが、
株式会社の形を採っていることから、
株式会社DS1という会社が所有者なんだと想像します。
ここはビットリアルティのようなGK-TKスキームだと、オリジネーターのケネディクスが持ち主で、その持ち主から信託受益権を譲渡されているSPC・・・
(このスキームの場合、合同会社)があるという形ですが、
こちらの場合は、ケネディクスの子会社である普通の会社ということらしいです。
とはいえ、代表者を調べると、石本忠次氏という税理士が代表となっているので、
まあ、実質的には今回のプロジェクトのためだけに設立された、
「ペーパーカンパニー」ということなんでしょうね。
で、このDS1が信託銀行に信託し、「信託受益権」を自らが持つ「自益信託」を行う。
そして、その自益信託であった分を、信託銀行である三菱UFJ信託銀行が「Progmat」という自社のSTOを発行するためのプラットフォームに乗せて、切り分けて、
野村、SBIを経由して投資家がそれを購入するという感じですね。
つまり当初は所有者兼、信託受益者であったDS1は、投資家や劣後出資者であるケネディクスがSTOを持つ形になるので、最終的には三菱UFJ信託銀行と共にSTOの発行者に回るということになります。
というわけで、今までのGK-TKスキームの場合は、エクイティ部分はコストとリスクとの兼ね合いから機関投資家、プロ投資家が担当し、デット(ローン)部分は大手金融機関が担当していた。
これを、ビットリアルティでは、「貸金業者から債権譲渡された(貸金業登録の制約を受けない)ペーパーカンパニーへの出資」という形を採ることで、一般投資家がメザニンローン、ジュニアローン等の債券へ小口投資出来るようにしたのに対して、
こちらのSTO投資では、このGK-TKスキームで言うところのエクイティ部分を、ブロックチェーン上に乗せることで、人手をかけずに切り分けられるようになったため、
STOを一般投資家へ小口販売出来るようになった。
という感じでしょうか。
まあ、私も正直付け焼き刃の知識で書いていますので、なんとなーくの理解ですが、
つまりざっくり言うと、ビットリアルティがソーシャルレンディングから倒産隔離を加えたような形であるのと似て、
(不動産所有者=オリジネーターの倒産隔離もそうですし、ビットリアルティは私募募集業者でしかなく、投資家は合同会社に直接出資するので、ビットリアルティの倒産リスクからも隔離されています)
今回のSTO案件は、不動産クラウドファンディングから倒産隔離を加えたような形かなーと思います。
ただし、倒産隔離だけであれば不特法の3号、4号事業でも出来るわけですが、
こちらの場合は、あくまで不動産そのものへの出資ではなく「信託受益権の一部」への投資になるので、税金上の区分が違って、
あくまで【証券への投資】であるということもあって、申告分離課税が出来るというのが大きいでしょうね。
なので、この投資で出た利益と上場企業の株売却で出た損失を損益通算出来るというのがメリットなのかなーと。
ケネディクスさんも色々なスキームや新しい技術を活用して、新たな投資方法を作るのがすごいなーと、素人ながら今回調べてみて思いました。
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今はまだ、エクイティ形での不動産投資においては、1号2号事業者による倒産隔離のされていない不動産クラウドファンディングが流行の先端という感じですし、
ローン形での不動産投資は、普遍的なソーシャルレンディングか、ソーシャルレンディングのスキームを利用して親会社子会社間の貸付で行われる社債風の案件がメインですが、
STOを活用することで、このあたりもより倒産隔離等の投資家リスクを減らせる洗練されたスキームが開発される可能性はありそうだなーと思います。
また、企業としてもオフバランスを狙おうとした場合、不特法の3,4号だとかなり手間がかかるので手が出ないところ、STOを活用すると、違う形で一般投資家を巻き込んだオフバランスが出来る可能性が出てくるので、
5年後10年後・・・それよりもっと早いかも・・・?
の未来には、また全然違う投資法に私たち投資家が盛んに参加している可能性もあるかもしれないなーとも思ったりしますね。
以上、全く勉強不足ながら、(ネタがないので)
自分なりにSTOについて書いてみました。
ちなみにご紹介した渋谷案件にSBI証券から出資すると、
暗号資産の「XRP」(SBI証券のHPでは「エックスアールピー」と記載されていますが、俗に言う「リップル」です)をプレゼント!
ということなので、そういう意味でも、注目の案件になるんだろうなと思いました。
まあ、1口100万円で2口からスタートなので私には縁がありませんが(苦笑)
というわけで、色々書いてみた記事でした。
XRPやイーサリアムなど暗号資産について記事に書きましたので、
暗号資産の取引所、販売所であるコインチェックのリンクを貼っておきます。
ってことは暗号資産はまだまだ伸びそうだなーなど、
ご興味が出た方は下記リンクをご活用ください。
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